20.11. nntplib — NNTP プロトコルクライアント

Source code: Lib/nntplib.py


このモジュールでは、クラス NNTP を定義しています。このクラスは NNTP プロトコルのクライアント側を実装しています。このモジュールを使えば、ニュースリーダや記事投稿プログラム、または自動的にニュース記事を 処理するプログラムを実装することができます。NNTP (Network News Transfer Protocol、ネットニュース転送プロトコル) の詳細については、インターネット RFC 977 を参照してください。

以下にこのモジュールの使い方の小さな例を二つ示します。ニュースグループに関する統計情報を列挙し、最新 10 件の記事を出力するには以下のようにします:

>>> s = NNTP('news.gmane.org')
>>> resp, count, first, last, name = s.group('gmane.comp.python.committers')
>>> print 'Group', name, 'has', count, 'articles, range', first, 'to', last
Group gmane.comp.python.committers has 1071 articles, range 1 to 1071
>>> resp, subs = s.xhdr('subject', first + '-' + last)
>>> for id, sub in subs[-10:]: print id, sub
...
1062 Re: Mercurial Status?
1063 Re: [python-committers]  (Windows) buildbots on 3.x
1064 Re: Mercurial Status?
1065 Re: Mercurial Status?
1066 Python 2.6.6 status
1067 Commit Privileges for Ask Solem
1068 Re: Commit Privileges for Ask Solem
1069 Re: Commit Privileges for Ask Solem
1070 Re: Commit Privileges for Ask Solem
1071 2.6.6 rc 2
>>> s.quit()
'205 Bye!'

ファイルから記事を投稿するには、以下のようにします。 (この例では記事番号は有効な番号を指定していて、あなたがそのニュースグループに投稿する 権限を持っていると仮定しています)

>>> s = NNTP('news.gmane.org')
>>> f = open('articlefile')
>>> s.post(f)
'240 Article posted successfully.'
>>> s.quit()
'205 Bye!'

このモジュール自体では以下の内容を定義しています:

class nntplib.NNTP(host[, port [, user[, password [, readermode] [, usenetrc]]]])

ホスト host 上で動作し、ポート番号 port で要求待ちをしている NNTP サーバとの接続を表現する新たな NNTP クラスのインスタンスを返します。標準の port は 119 です。オプションの user および password が与えられているか、 または /.netrc に適切な認証情報が指定されていて usenetrc が真 (デフォルト) の場合、 AUTHINFO USER および AUTHINFO PASS 命令を使ってサーバに対して身元証明および認証を行います。オプションのフラグ readermode が真の場合、認証の実行に先立って mode reader 命令が送信されます。reader モードは、ローカルマシン上の NNTP サーバ に接続していて、 group のような reader 特有の命令を呼び出したい場合に便利なことがあります。予期せず NNTPPermanentError に遭遇したなら、 readermode を設定する必要があるかもしれません。 readermode のデフォルト値は None です。 usenetrc のデフォルト値は True です。

バージョン 2.4 で変更: usenetrc 引数を追加しました.

exception nntplib.NNTPError

標準の例外 Exception から派生しており、 nntplib モジュールが送出する全ての例外の基底クラスです。

exception nntplib.NNTPReplyError

期待はずれの応答がサーバから返された場合に送出される例外です。以前のバージョンとの互換性のために、 error_reply はこのクラスと等価になっています。

exception nntplib.NNTPTemporaryError

エラーコードの範囲が 400-499 のエラーを受信した場合に送出される例外です。以前のバージョンとの互換性のために、 error_temp はこのクラスと等価になっています。

exception nntplib.NNTPPermanentError

エラーコードの範囲が 500-599 のエラーを受信した場合に送出される例外です。以前のバージョンとの互換性のために、 error_perm はこのクラスと等価になっています。

exception nntplib.NNTPProtocolError

サーバから返される応答が 1–5 の範囲の数字で始まっていない場合に送出される例外です。以前のバージョンとの互換性のために、 error_proto はこのクラスと等価になっています。

exception nntplib.NNTPDataError

応答データ中に何らかのエラーが存在する場合に送出される例外です。以前のバージョンとの互換性のために、 error_data はこのクラスと等価になっています。

20.11.1. NNTP オブジェクト

NNTP インスタンスは以下のメソッドを持っています。全てのメソッドにおける戻り値のタプルで最初の要素となる response は、サーバの応答です: この文字列は 3 桁の数字からなるコードで始まります。サーバの応答がエラーを示す場合、上記のいずれかの例外が送出されます。

NNTP.getwelcome()

サーバに最初に接続した際に送信される応答中のウェルカムメッセージを返します。(このメッセージには時に、ユーザにとって重要な免責事項や ヘルプ情報が入っています。)

NNTP.set_debuglevel(level)

インスタンスのデバッグレベルを設定します。このメソッドは印字されるデバッグ出力の量を制御します。標準では 0 に設定されていて、 これはデバッグ出力を全く印字しません。 1 はそこそこの量、一般に NNTP 要求や応答あたり 1 行のデバッグ出力を生成します。値が 2 やそれ以上の場合、(メッセージテキストを含めて) NNTP 接続上で送受信された全ての内容を一行ごとにログ出力する、最大限のデバッグ出力を生成します。

NNTP.newgroups(date, time[, file])

NEWSGROUPS 命令を送信します。 date 引数は 'yymmdd' の形式を取り、日付を表します。 time 引数は 'hhmmss' の形式をとり、時刻を表します。与えられた日付および時刻以後新たに出現したニュースグループ名のリストを groups として、 (response, groups) を返します。 file 引数が指定されている場合、 NEWGROUPS コマンドの出力結果は ファイルに格納されます。 file が文字列の場合、この文字列をファイル名としてファイルをオープンし、書き込み後にクローズします。 file がファ イルオブジェクトの場合、オブジェクトの write() メソッドを呼び出して出力結果を格納します。 file が指定されている場合は戻り値として空の リストを返します。

NNTP.newnews(group, date, time[, file])

NEWNEWS 命令を送信します。ここで、 group はグループ名または '*' で、 date および timenewsgrups() における引数と同じ意味を持ちます。 (response, articles) からなるペアを返し、 articles はメッセージ ID のリストです。 file 引数が指定されている場合、 NEWNEWS コマンドの出力結果は ファイルに格納されます。 file が文字列の場合、この文字列をファイル名としてファイルをオープンし、書き込み後にクローズします。 file がファ イルオブジェクトの場合、オブジェクトの write() メソッドを呼び出して出力結果を格納します。 file が指定されている場合は戻り値として空の リストを返します。

NNTP.list([file])

LIST 命令を送信します。 (response, list) からなるペアを返します。 list はタプルからなるリストです。各タプルは (group, last, first, flag) の形式をとり、 group がグループ名、 last および first はそれぞれ最新および最初の記事の記事番号 (を表す文字列)、そして flag は投稿が可能な場合には 'y', そうでない場合には 'n', グループがモデレート (moderated) されている場合には 'm' となります。(順番に注意してください: last, first の順です。) file 引数が指定されている場合、 LIST コマンドの出力結果は ファイルに格納されます。 file が文字列の場合、この文字列をファイル名としてファイルをオープンし、書き込み後にクローズします。 file がファ イルオブジェクトの場合、オブジェクトの write() メソッドを呼び出して出力結果を格納します。 file が指定されている場合は戻り値として空の リストを返します。

NNTP.descriptions(grouppattern)

LIST NEWSGROUPS 命令を送信します。 grouppattern は RFC2980 の定義に従う wildmat 文字列です (実際には、 DOS や UNIX のシェルワイルドカード文字列と同じです)。 (response,list) からなるペアを返し、 list はタプル (name, title) リストになります。

バージョン 2.4 で追加.

NNTP.description(group)

単一のグループ group から説明文字列を取り出します。 ('group' が実際には wildmat 文字列で) 複数のグループがマッチした場合、 最初にマッチしたものを返します。何もマッチしなければ空文字列を返します。

このメソッドはサーバからの応答コードを省略します。応答コードが必要なら、 descriptions() を使ってください。

バージョン 2.4 で追加.

NNTP.group(name)

GROUP 命令を送信します。 name はグループ名です。タプル (response, count, first, last, name) を返します。 count はグループ中の記事数 (の推定値) で、 first はグループ中の最初の記事番号、 last はグループ中の 最新の記事番号、 name はグループ名です。記事番号は文字列で返されます。

NNTP.help([file])

HELP 命令を送信します。 (response, list) からなるペアを返します。 list はヘルプ文字列からなるリストです。 file 引数が指定されている場合、 HELP コマンドの出力結果はファイルに格納されます。 file が文字列の場合、この文字列をファイル名 としてファイルをオープンし、書き込み後にクローズします。 file がファイルオブジェクトの場合、オブジェクトの write() メソッドを呼び出し て出力結果を格納します。 file が指定されている場合は戻り値として空のリストを返します。

NNTP.stat(id)

STAT 命令を送信します。 id は ('<''>' に囲まれた形式の) メッセージ ID か、 (文字列の) 記事番号です。 三つ組み (response, number, id) を返します。 number は (文字列の) 記事番号で、 id は ('<''>' に囲まれた形式の) メッセージ ID です。

NNTP.next()

NEXT 命令を送信します。 stat() のような応答を返します。

NNTP.last()

LAST 命令を送信します。 stat() のような応答を返します。

NNTP.head(id)

HEAD 命令を送信します。 idstat() におけるのと同じ意味を持ちます。 (response, number, id, list) からなるタプルを返します。最初の 3 要素は stat() と同じもので、 list は記事のヘッダからなるリスト (まだ解析されておらず、末尾の改行が取り去られたヘッダ行のリスト) です。

NNTP.body(id[, file])

BODY 命令を送信します。 idstat() におけるのと同じ意味を持ちます。 file 引数が与えられている場合、記事本体 (body) はファイルに保存されます。 file が文字列の場合、このメソッドはその名前を持つファイルオブジェクトを 開き、記事を書き込んで閉じます。 file がファイルオブジェクトの場合、 write() を呼び出して記事本体を記録します。 head() のような戻り値を返します。 file が与えられていた場合、返される list は空のリストになります。

NNTP.article(id)

ARTICLE 命令を送信します。 idstat() におけるのと同じ意味を持ちます。 head() のような戻り値を返します。

NNTP.slave()

SLAVE 命令を送信します。サーバの response を返します。

NNTP.xhdr(header, string[, file])

XHDR 命令を送信します、この命令は RFC には定義されていませんが、一般に広まっている拡張です。 header 引数は、例えば 'subject' といったヘッダキーワードです。 string 引数は 'first-last' の形式でなければならず、ここで first および last は検索の対象とする記事範囲の最初と最後の記事番号です。 (response, list) のペアを返します。 list(id, text) のペアからなるリストで、 id が (文字列で表した) 記事番号、 text がその記事の ヘッダテキストです。 file 引数が指定されている場合、 XHDR コマンドの出力結果は ファイルに格納されます。 file が文字列の場合、この文字列をファイル名としてファイルをオープンし、書き込み後にクローズします。 file がファ イルオブジェクトの場合、オブジェクトの write() メソッドを呼び出して出力結果を格納します。 file が指定されている場合は戻り値として空の リストを返します。

NNTP.post(file)

POST 命令を使って記事をポストします。 file 引数は開かれているファイルオブジェクトで、その内容は readline() メソッドを使って EOF まで読み出されます。内容は必要なヘッダを含め、正しい形式のニュース記事でなければなりません。 post() メソッドは . で始まる行を自動的にエスケープします。

NNTP.ihave(id, file)

IHAVE 命令を送信します。 id は ('<''>' に囲まれた) メッセージ ID です。 応答がエラーでない場合、 filepost() と全く同じように扱います。

NNTP.date()

タプル (response, date, time) を返します。このタプルには newnews() および newgroups() メソッドに合った形式の、現在の日付および時刻が入っています。これはオプションの NNTP 拡張なので、全てのサーバでサポートされているとは限りません。

NNTP.xgtitle(name[, file])

XGTITLE 命令を処理し、 (response, list) からなるペアを返します。 list(name, title) を含むタプルのリストです。 file 引数が指定されている場合、 XHDR コマンドの出力結果は ファイルに格納されます。 file が文字列の場合、この文字列をファイル名としてファイルをオープンし、書き込み後にクローズします。 file がファ イルオブジェクトの場合、オブジェクトの write() メソッドを呼び出して出力結果を格納します。 file が指定されている場合は戻り値として空の リストを返します。これはオプションの NNTP 拡張なので、全てのサーバでサポートされているとは限りません。

RFC2980 では、 "この拡張は撤廃すべきである" と主張しています。 descriptions() または description() を使うようにしてください。

NNTP.xover(start, end[, file])

(resp, list) からなるペアを返します。 list はタプルからなるリストで、各タプルは記事番号 start および end の間に区切られた記事です。各タプルは (article number, subject, poster, date, id, references, size, lines) の形式をとります。 file 引数が指定されている場合、 XHDR コマンドの出力結果は ファイルに格納されます。 file が文字列の場合、この文字列をファイル名としてファイルをオープンし、書き込み後にクローズします。 file がファ イルオブジェクトの場合、オブジェクトの write() メソッドを呼び出して出力結果を格納します。 file が指定されている場合は戻り値として空の リストを返します。これはオプションの NNTP 拡張なので、全てのサーバでサポートされているとは限りません。

NNTP.xpath(id)

(resp, path) からなるペアを返します。 path はメッセージ ID が id である記事のディレクトリパスです。 これはオプションの NNTP 拡張なので、全てのサーバでサポートされているとは限りません。

NNTP.quit()

QUIT 命令を送信し、接続を閉じます。このメソッドを呼び出した後は、NTTP オブジェクトの他のいかなるメソッドも呼び出してはいけません。